小松菜奈「良い加減吐いたら?」
ここはどこだ?身動きが取れない。
手足は座っている椅子に固く結び付けられている。手首は麻紐がしっかりと巻き付けられていて血が滲んでいた、動かす度に鋭い痛みがする。
目の前の女は再び繰り返した。
小松菜奈「ねぇ。良い加減吐いてよ」
笑みを絶やすことなくじっと見つめ問うてくる。
黒いスーツに、黒い髪、手には拳銃。向かい合った形で椅子の背に顎を乗せ、拳銃をつまらなそうに弄っている。
この手の女は厄介だ、何を考えているのか分からない。下手に動けば命はないだろう。
カストリ「何も知らない」
小松菜奈「ふーん。じゃあ?この手帳はなに?」
目の前に俺の警察手帳をぶら下げた。その後ろではやはりほくそ笑みを浮かべている。
小松菜奈「敵の本拠地でこれ落としちゃまずいんじゃない?刑事さん」
カストリ「そんなものは知らない!」
手帳をひらひらと振りながら、訝しげな目で見つめてくる。
すくっと立ち上がり時計を見つめる。
小松菜奈「そうかぁ。なにも言わないかぁ。じゃぁ助けてって言ったら助けてあげる」
何を言っているんだこの女は。全く掴みどころのない、脈絡のない会話にペースを崩される。
カストリ「何を言ってるんだ貴様は!!」
瞬間、遠くで爆発音がした。
何が起きている?パトカーのサイレント、発砲音、怒号が遠くで飛び交っている。
カストリ「何が起きている!?」
小松菜奈「やっと来たみたいね」
どう言うことだ?
女は俺の方に寄ると徐に、手の麻紐を切り出した。
小松菜奈「ほら、言って、助けてくださいって」
カストリ「たすけて、、、くだ、、さい、、、?」
小松菜奈「よく言えました」
女は目の前に警察手帳をぶら下げた。
そこには女の顔写真が。後ろではやはりほくそ笑みを浮かべていた。